「このままでは死んでしまう…」元天才子役が明かす。人気ドラマ終了後、どん底の日々の中で思い出した“先生の言葉”

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 橋田壽賀子脚本の人気長寿ドラマシリーズ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)で10歳から12年間、“加津ちゃん”こと野々下加津役を演じていた宇野なおみさん(35歳)。かつて“天才子役”と呼ばれた宇野さんは現在、フリーライターとして活動中です。

 子役として過ごしたあの頃、渡鬼シリーズ終了後の歩み、そして現在にいたるまで–当時は語れなかったことも含めて、宇野さんが“今だからこそ”綴るエッセイ連載です(以下、宇野さんの寄稿)。
◆“元天才子役”がライターになったワケ

 皆様、ご機嫌よう。宇野なおみです。毎日暑いですね……水出し緑茶が進みます。

 今回はライターになった理由についてお話ししたいと思います。そうそう、しょっちゅう聞かれるのですが、別に芸能界を引退したわけではありません。7月にテレビ出演させていただいたり、おととしは舞台に出演していたり実はしております。

 文房具屋さんに郵便局の看板がかかっていることがありますでしょう?言われたら切手とかはがきとか出してくれるじゃないですか。あんな感じです。

◆ひどい「じんましん」で仕事をすべてキャンセル

 20代の頃は、芝居を続けながらフリーランスでいろいろな仕事をやっておりました。

 英語を活かして通訳・翻訳をしたり、普通に接客のバイトをしたり。展覧会のツアーガイド、邦楽器のイベントMCなど、本当にいろんなことをやっていたのですが、ある日、体に異変が起こりました。

 じんましんが、ありとあらゆるところに出るようになったんです。

 もともと出やすい体質で、プレッシャーやストレスでよく出ていたんですよね。実は渡鬼出演時もたびたび発症していたものの、ここまでひどいのは初めて。

 顔を含めた全身が真っ赤になり、ほてったまま。当時春先だったのにアイスノンを敷き詰めた上で寝ていました。太陽の光を浴びても、ウエストゴムや下着の締め付けでも真っ赤に腫れてしまうので、外に出る事すらろくにできなくなって。

 治る様子はまったくなく、ついに喉、顎、目のふちにじんましんが出るようになるありさま。じんましんというのは体中どこでもできる疾患です。寝ているときに喉を掻きむしり、気管をふさいで呼吸困難になることもあると知り、本当に怖くて……。実際に朝起きると、首やお腹や太ももに掻きむしった跡が残っている。無意識でやってしまうことが恐ろしかったです。

 当然、仕事も基本的にはすべてキャンセル(一度、展示会の事前準備スタッフに入ったところ、ストッキングで肌が真っ赤に)。抗アレルギー剤の影響でぼーっとする以外は元気、だけどただ横になっているしかできない。実家暮らしの私は、飢える心配こそないものの、ふがいなく、己を責める毎日でした。

◆ふと思い出した橋田壽賀子先生の言葉

 もしこのまま治らなければ、経済的な意味でも、身体的な意味でも死んでしまう。

 何とか在宅でもできる仕事を見つけねば。

 アイスノンを金属探知機のごとくあちこちに当てながら、ふと思い出したのは、橋田先生の言葉でした。

 2025年5月に行われた橋田賞のパーティーで登壇した折にお話したことなのですけれども、以前先生がCSでやっていた番組に出演したときに、「あなたはいつか書くわよ」と言われました。その時は何をおっしゃっているのかしらと思いましたが、うんうん唸る私の脳裏に、不意にその言葉がよみがえってきたのです。

 もともと書くことは大好き。リハーサルや収録でもらうスケジュールの紙裏に、落書きや妄想、作文をひたすら書き連ねていたような子でした。

 ブログも10年ほどずっと書き続けていて、渡鬼の時は、ウェブサイトやモバイルページに毎シリーズ、連載を持たせてもらっていました。好き勝手に書いていた記憶が……。

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