大阪・ミナミの繁華街でビル2棟が焼け、消火活動にあたっていた消防隊員2人が死亡した火災。関西テレビが独自入手した映像で、1階部分から出た火がわずか1分ほどで上層階まであがる様子が確認されました。
警察などはきょう=19日から現場検証を行って、出火原因などを調べています。
■発生直後の映像「火はわずか1分ほどで一気に上層階まで」
きのう=18日、大阪・ミナミの繁華街の中心部で起きた火災。
5階建てと7階建ての建物が内部で繋がったビルが燃え、火はおよそ9時間後に消し止められましたが、あわせておよそ100平方メートルが焼けました。
発生から一夜明け、当時の状況が少しずつわかってきました。
関西テレビが独自入手した発生直後の映像によると、火はビルの1階部分から出て、わずか1分ほどで一気に上層階まであがりました。
そして数分ほどでビルの高さを超えるほどの黒煙が立ちのぼりました。
■火災直後のビル内部では1階階段部分が赤く…1分後にビル全体に火の手が
火災直後のビル内部の写真では1階の階段部分が赤くなっていて、撮影した人によると、この1分後にはビル全体に火の手が回り始めたといいます。
当時、ビルの中にいたという男性も燃え広がる速さに恐怖を感じたと話します。
【当時ビルにいた男性】「火災報知器が鳴って降りて見てみたら、黒煙と火の手が見えて。これは『マジでやばい状態やな』って。急いで、『火事です』って。すぐに裏口から逃げてって感じで。火の回りはめちゃめちゃ早かった」
また、ビルの中には階段が一つしかなく、避難が難しかったといいます。
【当時ビルにいた男性】「非常階段があって、そこに物とかあるときがあるので、動きづらいときはあった」
■ビルには「6項目の法令違反」も
なぜ火災が起きたのか?ビルの中には複数の飲食店が入っていますが、火元についてビルのオーナーは…
【ビルオーナー】「出火元がわからない“ボヤ”とか火災報知器が鳴るのはあったけど、これだけ大きなのは初めて」
さらに取材を進めると、火災が起きたビルでは3年に一度、消防による検査が行われていましたが、おととしの立ち入り検査で、火災報知器の設置に不備があるなど6つの項目で法令違反があったことがわかりました。
消防はビルの管理者に是正を求めましたが、ほとんどが改善されていなかったということです。
大阪市は21日にも事故調査委員会を立ち上げ、詳しく調べることにしています。
■犠牲になった2人に献花 同期たちが訪れる
この火災で、消防隊員の森貴志さん(55)と長友光成さん(22)の死亡が確認され、別の消防隊員4人と20代の女性1人もけがをしました。
亡くなった2人は3人チームを組み、7階建てのビルの方で消火活動をしていたところ、5階と6階部分が崩落し、取り残されたとみられます。
そして、きょう=19日現場に設置された献花台に、長友さんを知る消防学校の同期が次々と訪れ、手を合わせました。
【亡くなった長友さんと同期の消防士】「優しくて、とても良い人でした。こんなに早く同期が亡くなるなんて思っていなかったので。火災の恐ろしさを改めて身に染みて感じました」
【亡くなった長友さんと同期の消防士】「光成(長友さん)の分も消防士としてやっていけたらな、と。いろんなことを思いました」
■現場検証は20日以降も続く可能性
現場のビルでは、19日午前10時ごろから現場検証が始まり、ビル2棟両方に3~4人ほどの少人数で入っていました。
警察によると、調べる範囲が広く、20日以降も検証が続く可能性があるということです。
(関西テレビ「newsランナー」2025年8月19日放送)